この話を聞けば問題がよく分かる。

「新国立、誰が出すのか、誰の責任か問題は、全部まやかし。本当の問題は、できるのかできないのか? お金は足りるのか? それくらい酷い状態だってこと」。鈴木知幸さんの話を聞けば、問題が一つや二つじゃないのがわかる。


TBSラジオ セッション22

2015年6月10日「新国立競技場をめぐるドタバタ劇」


●テーマ
新国立競技場の建設をめぐり、国と東京都が全面対立、このドタバタ劇。何がどうして、こうなったのか!?

●スタジオゲスト
新国立競技場の建設問題を取材する東京新聞文化部の 森本智之 記者
2016年東京五輪招致に関わった元五輪招致推進担当課長 鈴木知幸 さん


【要約】

・工期やコストの懸念はずっとあった。


・新しくできる国立競技場はこれまでのオリンピック至上、最大規模のとてつもない特大サイズだった。


・作る側も難工事になるはわかっていた。東北復興や消費増税なので当然、建設費高騰わかっていた。


・老朽化や規定に合わないで建て替えとなったが、その前に改修案の検討もあったが、いつの間にか消えた。


・ワールドカップラクビーの承知が決まってから、建て替えが決まった。そのあとにオリンピックが決まった。


・森元総理が言われたラクビーワールードカップの規定8万人は、文章としてはでてこない。唯一8万人とでてくるのはサッカーのワールドカップ。


オリンピックでも8万人の会場つくりなさいとはどこにも書いていない。ロンドンが8万人、北京が9万人という経緯があったのでそういった数字がでてきた。


・2006年に東京オリンピック招致で作業を始め、国立競技場の改修を都から文化省にもとめにいったが、良い言葉がえられなかったので、独自のスタジアムを臨海部に作るという話になった。その時のコストが1000億円だった。その時に半分は国にだしてほしいなんて現場にはなかった。

・猪瀬知事の話。下村大臣から500億円だしてくれと言われて無理と言う。ただし周辺整備については、東京都民にメリットがあるので考えると話はした。


・オリンピック誘致では1000億円の想定だった、JSCがデザイン公募での設定で1300億円。ザハ案だだと3000億になるとわかり昨年の段階でさげて1625億円になった。成り行き事態が問題点あり。(さらに今年の春の施工者の見積りは3000億円、あわてていろいろ変えて現2500億円)


・最初にデザインを決めてから、中身を決めるのはやり方は極めて危険。必要な機能を想定してからデザイン決めなければならないのに。想定がたった8万人と開閉式屋根付きだけだった。それが最初のボタンの掛け違い、最初の間違いだと思う。


・東京都がオリンピック招致で出したのが1000億円、ところが国がJSCを使って建設計画を東京都とは話の擦り合わせをせずに、1300億円の想定のデザイン公募やっていしまった。


・屋根はスポーツに必要なものではない、屋根はコンサートのため。騒音の問題で音漏れを防げるから。年12回ほどやりたいと、コンサートはスタジアム経営ではドル箱で、これだけの規模のものは稼がないと赤字でクビが回らなくなる。


・コンサートやれば実際に儲かるか? かなりあまいみ見通し。年間維持費が35億円かかる。旧国立の5倍以上かかる。赤字にしないためにJSCは38億円もうけると言っているが、はたして可能か(笑)? 少し考えればわかること。


・コンサートは諸刃の刀で、やればやるほど芝が駄目になる。どこもやりたくてもできない。天然芝は極めてデリケイトで通気性と気温と水がうまく整わないと育たない。国立も年2回、日産・味の素スタジアムも年1回しか出来なかった。なんとしても年12回で6億円儲けるために、年2回芝生を入れ替える。そのお金が3.3億円かかる。考え方が違うのではないですか?


・会員席とかシートをグレード上げて、企業収入をあてに収入にしようとするが、今の経済状況で売れるかどうか?


・何で維持費が5倍かかるのか? 最新の空調で椅子の横から冷気がでるような凄いものだから。最初の維持費は45億円で収益は48億円と言っていがが、それが維持費が40億円で収益は44億円、維持費が35億円で収益は38億円と常に3億くらい儲かるといい加減な計画を建てている。


・8万人は毎回は入りませんよね? 一番入るのはワールドカップ、それ以外は難しい。


・今は1.5万席を仮設にして、とっぱらって6.5万スタジアムとすると言っているが、入るのか? 関東近辺には日産スタジアム7万人、埼玉スタジアム6万人、味の素スタジアム5万人と既にあって、試合の取り合いをしている。それで8万とか6.5万のスポーツができるかは限りがある。地方にも大きなスタジアムもあるし。


・JSC日本スポーツ振興センターは、上から言われることをやっているだけ、監督する文科省は丸投げして、ガバナンスが発揮されることはない。JSCは内容を検討する安藤忠雄さんとか森元総理がいる有識者会議は、諮問機関にすぎないので、それなりの責任はあるが、メンバーには責任があると考えていないようだ。皆が悪いのではないか。まつ添知事も含めて。


・なんで今頃、どちらがどれだけ出すかが焦点になっているのか? 本来の問題は、本当にできるのかできないのか? お金は足りるのか?であって、その問題がすり替えになっているようしか思えない。または責任の分散がなされている、誰が悪いかという話にもちこんで、本来の問題をすり替えれている。


・もうJSCが腹くくって、やめるという以外はないと思う。おそらく今の案をやめられず突っ込んでいく可能性もある。オリンピック終わってからの運営はどうするのか?が一番の問題になる JSCの運営では持たないので、民間に運営権まかせないと負の遺産になる。