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上野タケシのブログ

カテゴリ:事件/問題 > 新国立競技場問題

 凄い記事がでた、今までのゴタゴタをはじめっから覆すような記事だ。簡単に言うともともと財源がなく、確保できているのは、スポーツ振興くじ「toto」の売り上げの5%分で年間約50億円を7年で350億円しかない。つまりお金のあてがなく始めた計画だった。なんという杜撰だ。

 

【要約】
 

・事業を進める独立行政法人の新国立競技場に昨年12月、「真に『やむを得ない場合』に当たらない経費については、原則として追加は認めない」「国費(国の予算)以外の財源で賄う」と財務省と文部科学省が合意。
 

既に390億円の予算を投入した財務省は今後の国費計上には慎重姿勢「これ以上の国費負担は国民の理解を得られない」。
 

・財源が確保できないまま見切り発車した文科省の「場当たり的」計画への批判が高まる
 

・新国立競技場の建設費については現在1625億円と計画されているが大幅に膨らむことが確実
 

・財源として確保できているのは、スポーツ振興くじ「toto」の売り上げの5%分のみ。年間約50億円。(確か7年だから50億円x7年=350億円
 

・文科省は五百億円の負担を東京都に求めているが、全体像は宙に浮いた状態
 



新国立競技場「追加経費 国費使わない」 財源不透明、見切り発車 東京新聞2015年6月14日


 二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの主会場になる新国立競技場の建設費に関し、財務省と文部科学省が合意し、事業を進める独立行政法人の計画に昨年十二月、「国費(国の予算)以外の財源で賄う」との文言を盛り込んでいたことがわかった。既に三百九十億円の予算を投入した財務省は今後の国費計上には慎重姿勢。財源が確保できないまま見切り発車した文科省の「場当たり的」計画への批判が高まっている。(山口哲人)
 

 五輪関連施設を新設する際の財源について政府は一一年十二月、「財政改革が喫緊の課題」として「多様な財源の確保に努力する」ことを基本方針として閣議了解している。「多様な財源」について、下村博文文科相は「国費を基本とする考え方はとられていない」としている。この閣議了解を受け、新国立競技場の建設費用について文科省と財務省は一三年一月、「多様な財源の確保のあり方などを踏まえる」ことで合意。一三年度予算に新競技場の基本設計費として十三億円を計上する代わりに、合意内容は新競技場の整備主体である独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)の中期計画に盛り込まれた。
 

 さらにこの計画は昨年十二月に改定され、「真に『やむを得ない場合』に当たらない経費については、原則として追加は認めない」「国費以外の財源で賄う」などという文言が追加された。文科省関係者によると、改定は財務・文科両省の合意内容を反映したものだとしている。
 

 新国立競技場の建設費については現在千六百二十五億円と計画されているが大幅に膨らむことが確実。その一方、財源として確保できているのは、スポーツ振興くじ「toto」の売り上げの5%分のみ。年間約五十億円が見込まれ、既に一三、一四年度分として百九億円が充当された。財源不足を補うため、文科省は五百億円の負担を東京都に求めているが、全体像は宙に浮いた状態が続いている。
 

 一方、政府はこれまでに新競技場の設計費や解体費などとして三百九十億円の国費を既に投入。「多様な財源」で賄うべき建設費に対し、既に巨額の国家予算を投入したため「財務省主導」(関係者)で計画を改定し「国費以外」で対応していくことを明確にしたものとみられる。建設費に対する財源のメドは立たないままだが、財務省では「これ以上の国費負担は国民の理解を得られない」としている。
 

 東大大学院の松原隆一郎教授(社会経済学)は「計画を主導する文科省が場当たり的な対応に終始しており、責任の所在も明確ではない」と指摘。建設費が膨らむ中で「今後負担が増えるようなら国民や都民の納得は得られないだろう」としている。

(東京新聞)

この話を聞けば問題がよく分かる。

「新国立、誰が出すのか、誰の責任か問題は、全部まやかし。本当の問題は、できるのかできないのか? お金は足りるのか? それくらい酷い状態だってこと」。鈴木知幸さんの話を聞けば、問題が一つや二つじゃないのがわかる。


TBSラジオ セッション22

2015年6月10日「新国立競技場をめぐるドタバタ劇」


●テーマ
新国立競技場の建設をめぐり、国と東京都が全面対立、このドタバタ劇。何がどうして、こうなったのか!?

●スタジオゲスト
新国立競技場の建設問題を取材する東京新聞文化部の 森本智之 記者
2016年東京五輪招致に関わった元五輪招致推進担当課長 鈴木知幸 さん


【要約】

・工期やコストの懸念はずっとあった。


・新しくできる国立競技場はこれまでのオリンピック至上、最大規模のとてつもない特大サイズだった。


・作る側も難工事になるはわかっていた。東北復興や消費増税なので当然、建設費高騰わかっていた。


・老朽化や規定に合わないで建て替えとなったが、その前に改修案の検討もあったが、いつの間にか消えた。


・ワールドカップラクビーの承知が決まってから、建て替えが決まった。そのあとにオリンピックが決まった。


・森元総理が言われたラクビーワールードカップの規定8万人は、文章としてはでてこない。唯一8万人とでてくるのはサッカーのワールドカップ。


オリンピックでも8万人の会場つくりなさいとはどこにも書いていない。ロンドンが8万人、北京が9万人という経緯があったのでそういった数字がでてきた。


・2006年に東京オリンピック招致で作業を始め、国立競技場の改修を都から文化省にもとめにいったが、良い言葉がえられなかったので、独自のスタジアムを臨海部に作るという話になった。その時のコストが1000億円だった。その時に半分は国にだしてほしいなんて現場にはなかった。

・猪瀬知事の話。下村大臣から500億円だしてくれと言われて無理と言う。ただし周辺整備については、東京都民にメリットがあるので考えると話はした。


・オリンピック誘致では1000億円の想定だった、JSCがデザイン公募での設定で1300億円。ザハ案だだと3000億になるとわかり昨年の段階でさげて1625億円になった。成り行き事態が問題点あり。(さらに今年の春の施工者の見積りは3000億円、あわてていろいろ変えて現2500億円)


・最初にデザインを決めてから、中身を決めるのはやり方は極めて危険。必要な機能を想定してからデザイン決めなければならないのに。想定がたった8万人と開閉式屋根付きだけだった。それが最初のボタンの掛け違い、最初の間違いだと思う。


・東京都がオリンピック招致で出したのが1000億円、ところが国がJSCを使って建設計画を東京都とは話の擦り合わせをせずに、1300億円の想定のデザイン公募やっていしまった。


・屋根はスポーツに必要なものではない、屋根はコンサートのため。騒音の問題で音漏れを防げるから。年12回ほどやりたいと、コンサートはスタジアム経営ではドル箱で、これだけの規模のものは稼がないと赤字でクビが回らなくなる。


・コンサートやれば実際に儲かるか? かなりあまいみ見通し。年間維持費が35億円かかる。旧国立の5倍以上かかる。赤字にしないためにJSCは38億円もうけると言っているが、はたして可能か(笑)? 少し考えればわかること。


・コンサートは諸刃の刀で、やればやるほど芝が駄目になる。どこもやりたくてもできない。天然芝は極めてデリケイトで通気性と気温と水がうまく整わないと育たない。国立も年2回、日産・味の素スタジアムも年1回しか出来なかった。なんとしても年12回で6億円儲けるために、年2回芝生を入れ替える。そのお金が3.3億円かかる。考え方が違うのではないですか?


・会員席とかシートをグレード上げて、企業収入をあてに収入にしようとするが、今の経済状況で売れるかどうか?


・何で維持費が5倍かかるのか? 最新の空調で椅子の横から冷気がでるような凄いものだから。最初の維持費は45億円で収益は48億円と言っていがが、それが維持費が40億円で収益は44億円、維持費が35億円で収益は38億円と常に3億くらい儲かるといい加減な計画を建てている。


・8万人は毎回は入りませんよね? 一番入るのはワールドカップ、それ以外は難しい。


・今は1.5万席を仮設にして、とっぱらって6.5万スタジアムとすると言っているが、入るのか? 関東近辺には日産スタジアム7万人、埼玉スタジアム6万人、味の素スタジアム5万人と既にあって、試合の取り合いをしている。それで8万とか6.5万のスポーツができるかは限りがある。地方にも大きなスタジアムもあるし。


・JSC日本スポーツ振興センターは、上から言われることをやっているだけ、監督する文科省は丸投げして、ガバナンスが発揮されることはない。JSCは内容を検討する安藤忠雄さんとか森元総理がいる有識者会議は、諮問機関にすぎないので、それなりの責任はあるが、メンバーには責任があると考えていないようだ。皆が悪いのではないか。まつ添知事も含めて。


・なんで今頃、どちらがどれだけ出すかが焦点になっているのか? 本来の問題は、本当にできるのかできないのか? お金は足りるのか?であって、その問題がすり替えになっているようしか思えない。または責任の分散がなされている、誰が悪いかという話にもちこんで、本来の問題をすり替えれている。


・もうJSCが腹くくって、やめるという以外はないと思う。おそらく今の案をやめられず突っ込んでいく可能性もある。オリンピック終わってからの運営はどうするのか?が一番の問題になる JSCの運営では持たないので、民間に運営権まかせないと負の遺産になる。


この話を聞けば問題がよく分かる。
 

「新国立、誰が出すのか、誰の責任か問題は、全部まやかし。本当の問題は、できるのかできないのか? お金は足りるのか? それくらい酷い状態だってこと」




TBSラジオ セッション22

2015年6月10日(水)「新年国立競技場をめぐるドタバタ劇」




●テーマ
新国立競技場の建設をめぐり、国と東京都が全面対立
このドタバタ劇。何がどうして、こうなったのか!?

●スタジオゲスト
新国立競技場の建設問題を取材する東京新聞文化部の 森本智之 記者
2016年東京五輪招致に関わった元五輪招致推進担当課長 鈴木知幸 さん


【要約】

・工期やコストの懸念はずっとあった。


・新しくできる国立競技場はこれまでのオリンピック至上、最大規模のとてつもない特大サイズだった。


・作る側も難工事になるはわかっていた。東北復興や消費増税なので当然、建設費高騰わかっていた。


・老朽化や規定に合わないで建て替えとなったが、その前に改修案の検討もあったが、いつの間にか消えた。


・ワールドカップラクビーの承知が決まってから、建て替えが決まった。そのあとにオリンピックが決まった。


・森元総理が言われたラクビーワールードカップの規定8万人は、文章としてはでてこない。唯一8万人とでてくるのはサッカーのワールドカップ。


オリンピックでも8万人の会場つくりなさいとはどこにも書いていない。ロンドンが8万人、北京が9万人という経緯があったのでそういった数字がでてきた。


・2006年に東京オリンピック招致で作業を始め、国立競技場の改修を都から文化省にもとめにいったが、良い言葉がえられなかったので、独自のスタジアムを臨海部に作るという話になった。その時のコストが1000億円だった。その時に半分は国にだしてほしいなんて現場にはなかった。

・猪瀬知事の話。下村大臣から500億円だしてくれと言われて無理と言う。ただし周辺整備については、東京都民にメリットがあるので考えると話はした。


・オリンピック誘致では1000億円の想定だった、JSCがデザイン公募での設定で1300億円。ザハ案だだと3000億になるとわかり昨年の段階でさげて1625億円になった。成り行き事態が問題点あり。(さらに今年の春の施工者の見積りは3000億円、あわてていろいろ変えて現2500億円)


・最初にデザインを決めてから、中身を決めるのはやり方は極めて危険。必要な機能を想定してからデザイン決めなければならないのに。想定がたった8万人と開閉式屋根付きだけだった。それが最初のボタンの掛け違い、最初の間違いだと思う。


・東京都がオリンピック招致で出したのが1000億円、ところが国がJSCを使って建設計画を東京都とは話の擦り合わせをせずに、1300億円の想定のデザイン公募やっていしまった。


・屋根はスポーツに必要なものではない、屋根はコンサートのため。騒音の問題で音漏れを防げるから。年12回ほどやりたいと、コンサートはスタジアム経営ではドル箱で、これだけの規模のものは稼がないと赤字でクビが回らなくなる。


・コンサートやれば実際に儲かるか? かなりあまいみ見通し。年間維持費が35億円かかる。旧国立の5倍以上かかる。赤字にしないためにJSCは38億円もうけると言っているが、はたして可能か(笑)? 少し考えればわかること。


・コンサートは諸刃の刀で、やればやるほど芝が駄目になる。どこもやりたくてもできない。天然芝は極めてデリケイトで通気性と気温と水がうまく整わないと育たない。国立も年2回、日産・味の素スタジアムも年1回しか出来なかった。なんとしても年12回で6億円儲けるために、年2回芝生を入れ替える。そのお金が3.3億円かかる。考え方が違うのではないですか?


・会員席とかシートをグレード上げて、企業収入をあてに収入にしようとするが、今の経済状況で売れるかどうか?


・何で維持費が5倍かかるのか? 最新の空調で椅子の横から冷気がでるような凄いものだから。最初の維持費は45億円で収益は48億円と言っていがが、それが維持費が40億円で収益は44億円、維持費が35億円で収益は38億円と常に3億くらい儲かるといい加減な計画を建てている。


・8万人は毎回は入りませんよね? 一番入るのはワールドカップ、それ以外は難しい。


・今は1.5万席を仮設にして、とっぱらって6.5万スタジアムとすると言っているが、入るのか? 関東近辺には日産スタジアム7万人、埼玉スタジアム6万人、味の素スタジアム5万人と既にあって、試合の取り合いをしている。それで8万とか6.5万のスポーツができるかは限りがある。地方にも大きなスタジアムもあるし。


・JSC日本スポーツ振興センターは、上から言われることをやっているだけ、監督する文科省は丸投げして、ガバナンスが発揮されることはない。JSCは内容を検討する安藤忠雄さんとか森元総理がいる有識者会議は、諮問機関にすぎないので、それなりの責任はあるが、メンバーには責任があると考えていないようだ。皆が悪いのではないか。まつ添知事も含めて。


・なんで今頃、どちらがどれだけ出すかが焦点になっているのか? 本来の問題は、本当にできるのかできないのか? お金は足りるのか?であって、その問題がすり替えになっているようしか思えない。または責任の分散がなされている、誰が悪いかという話にもちこんで、本来の問題をすり替えれている。


・もうJSCが腹くくって、やめるという以外はないと思う。おそらく今の案をやめられず突っ込んでいく可能性もある。オリンピック終わってからの運営はどうするのか?が一番の問題になる JSCの運営では持たないので、民間に運営権まかせないと負の遺産になる。

ドタバタが続くなか、やっと内容が判ってきた(ちゃんと情報公開できない状況だが)。
日本スポーツ振興センターの計画だった「建設費は1625億円、工期は42か月」で、19年3月の完成予定が、この春での大成建設と竹中工務店の見積りでは、「建設費3000億円超、工期は50か月程度」しかも、完成が翌20年の東京五輪・パラリンピック後になるとの説明あったということ。

いまだ屋根が問題だという話になっているが、もう一つの規模、8万人はあまり問題にならない。可動席の1.5万人が仮設になるだけで規模は変わらないようだが。陸上競技では1万人すら埋まらない現状、だから使用料が高い旧国立競技場では陸上はほとんど行われていない。そんな状態なのに、陸上回数を増やして多額の利益を生むというインチキ収支計算。規模から変えないと、このままだと年間10から20億の維持費赤字に陥る。

もともと解決できない、新国立競技場の問題は多岐にわたる。 



W杯間に合う?費用膨張「新国立」、計画揺らぐ 2015年06月05日 読売新聞


今年10月の着工を控える新国立競技場(東京都新宿区)の建設計画が揺らいでいる。

 建設費が2500億円にも膨らむ可能性が浮上し、2019年9月開幕のラグビー・ワールドカップ(W杯)に間に合うか微妙な情勢だ。建築専門家はデザインの抜本的見直しを提言。費用負担を巡り、舛添要一・東京都知事と下村文部科学相との対立も深まっており、先行きは見えない。

 ◇衝撃

 「建設費3000億円超、工期は50か月程度」。技術提案を基に施工業者に内定した大手ゼネコンの大成建設と竹中工務店が、この春提出したという見積もりに、文部科学省の担当者らは目を疑った。

 昨年5月に事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)が公表した計画では、「建設費は1625億円、工期は42か月」で、19年3月の完成予定だった。

 工期が「50か月」となれば、ラグビーW杯に間に合わない。見積もりの途中段階では、完成が翌20年の東京五輪・パラリンピック後になるとの説明すらあったという。

 文科省などは、高い技術が必要なフィールド上の開閉式屋根の設置を五輪後に先送りすることなどで、費用を少なくして工期も縮めるプランの検討に入った。

 騒音を防ぎ、雨もしのぐ開閉式屋根は、五輪後にコンサートなどの利用を増やすために計画された。屋根がなければ、今度は五輪後の収入が伸びないという問題を抱えることになる。

 ◇ツケ

 相次ぐ見込み違いは、12年に採用が決定した斬新なデザインに起因するとの見方が強い。

 採用されたデザインは、競技場の屋根にかかる2本の巨大アーチが特徴的。ただ、ゼネコンの見積もりでは、この「キールアーチ」と呼ばれる部分だけで、品質が高く高価な鉄が2万トン近く必要になるという。

 文科省は安価な外国産への変更などを求めているが、ゼネコンとの意見の隔たりは埋まらず、政府関係者は「奇抜なデザインを選んだツケが今になって回ってきた」と皮肉る。

 建築界のノーベル賞と呼ばれる「プリツカー賞」を受賞している建築家の槙文彦さん(86)らで作るグループは、巨大アーチがコスト高や工期の長期化を招いているとして、巨大アーチを取りやめるよう提言する。

 グループは、現行のままだと建設費は2700億円を超えると試算。アーチを取りやめれば、最大1500億円程度に圧縮でき、工期も42か月程度に収まるとしている。槙さんは「今が計画を見直す最後のチャンスだ」と訴えている。

数年前に言ってほしかったが、独立行政法人日本スポーツ振興センター/JSCがどういったところかよくわかる。



「新国立競技場の杜撰な計画変更 文科省と外郭団体の責任は」嘉悦大教授、高橋洋一

zakzak連載:日本の解き方 2015.05.26

 2020年の東京五輪・パラリンピックを国民は大いに期待している。ところが先週、びっくりするようなニュースが流れてきた。

 下村博文文部科学相は18日、東京都庁で舛添要一知事と会談し、メーン会場となる新国立競技場が当初の構想とは異なり開閉式の屋根とならないことを伝え、建設費用1692億円のうち500億円の負担を都に要請したのだ。

 舛添知事は14年2月の就任以来、初めてこの話を聞いたとしている。他の競技会場についても当初の計画と変更したものが増えているが、こうした事態はどこに問題があるのだろうか。

 建設費が当初の予定通りにいかないのは、どんな計画でもありうるが、その基本的な部分の変更が後で発覚するのはあまりにまずいだろう。

 国立競技場は、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)が管理・運営している。以前は特殊法人国立競技場が管理・運営していたが、03年に設立されたJSCに移管された。JSCの資本金は全額、国からの出資金であり、文科省所管となっている。

 JSCの役員構成をみると、理事長(学者)、4人の理事(文科省出身2人、JSCプロパー1人、民間1人)、2人の監事(学者2人)となっており、典型的な文科省の外郭団体だ。文科省出身の理事は、形式的には退職・天下りではなく現役出向になっている。

 JSCが、新国立競技場の新設計画を進めていたが、ここにきて計画がうまくいかないことが明らかになって文科省に泣きつき、文科相が舛添知事に報告・要請したというところだろう。

 まだ東京の五輪招致が決まる前の12年11月の報道では、「国立競技場、1300億円で建て直し」という見出しで、屋根付きの新国立競技場が紹介されていた。


 東京都への負担要請の500億円について、前からの暗黙の話があったのか、それとも構想発表時からの建設費増を東京都に求めたのかどうかは不明だ。今後、要請負担の明細が文科省から東京都に示されるはずであるので、それを待たないと、真相はよくわからないままだ。

 新国立競技場の建設では、旧競技場の解体のための業者入札が不調になるなど、あまり順調に計画が進展していないことはわかっていたが、ここまで杜撰(ずさん)だったとは国民も驚いているだろう。

 JSCが文科省の“100%子会社”である以上、JSCと文科省の責任は免れないだろう。舛添知事はキレまくっている。19日の定例記者会見でも、「誰も責任をとらない体制、だから大日本帝国陸軍と同じだ」といっている。

 整備については、1692億円ではなく2500億円を超えるという。工期については、屋根なしでも間に合わないかもしれないという。東京五輪・パラリンピックを成功させるために、関係者の責任をいま一度明確にしておかなければいけない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

スポーツ記者の真っ当な批判。スポーツ関係者はもっと声を上げてほしい。負の遺産で毎年赤字を生み続けると、今までスポーツ関連に出ていた予算も削られる。それはスポーツ社会のとっても良いことにならない。




呆れかえった国立競技場問題
無能で当事者能力に欠けるJSCには、とても任せてはおけない 後藤健生コラム2015年05月23日 J SPORTS

 

下村文部科学大臣が、舛添東京都知事と会談し、東京都側に500億円の負担を求めた際に、「開閉式の屋根の取り付けは間に合わないので、屋根はオリンピック、パラリンピック終了後に取り付ける」。「一部を仮設席にする」という方針を突然発表したのである。

国立競技場の建て替え問題に関しては、昨年来、このコラムでも何度も取り上げた。あんな使い勝手が悪いスタジアムを造っても、将来「負の遺産」になってしまう。もっとコンパクトで、将来も使い続けられる構造のものにしないと、税金の無駄使いになってしまう。それが僕の意見だった。だが、各界から批判を浴びた国立競技場の建て替えだったが、「国」というか、当事者であるスポーツ振興センターはそうした批判にはまったく耳を貸さず、旧国立競技場はアッと言う間に取り壊され、今ではすっかり更地状態になってしまった。だから、もう、このまま、あの醜い巨大建造物が出来てしまうのかと僕は諦めていたのだが、それが突然、計画通りの競技場が出来そうもないという話になったのである。

問題の経緯を、ごく簡単に振り返ってみよう。

まず、2020年のオリンピック招致を進める際に、メインスタジアムは東京・千駄ヶ谷の国立競技場を建て替えて使用することが決まった。そして、スポーツ振興センターは新国立競技場のプランを公募。国際コンペが行われ、ザハ・ハディド女史が設計した巨大なスタジアムのプランが採用された。しかし、このザハ・ハディドのデザインが発表されると、あまりの巨大さから「明治神宮外苑の景観を損なう」という批判が沸き起こった。なにしろ、巨大な屋根の高さは旧国立競技場の照明塔よりはるかに高く、構造物の一部は中央線の線路まで達するような巨大さだったのだ。

しかし、このプラン通りのものを建設すると建設費が3000億円に達するという試算が出て、結局、プランは修正(縮小)された。修正案には、ザハ案のようなダイナミックさもなくなり、そのデザインは「亀の子のような」とか「サイクリングのヘルメットのような」と揶揄された。建築界からも批判が噴出。各方面から旧国立競技場の改修案が提出されたが、こうした批判の声は無視され、スポーツ振興センターは旧国立競技場を取り壊してしまったのだ。

新国立競技場は、陸上競技とサッカー・ラグビーの兼用スタジアムで8万人収容。特徴は、開閉式の巨大な屋根が取り付けられることだった。屋根を取り付けて騒音問題を防止することによってコンサート会場として使用することで、稼働率を上げようというのがその趣旨だった(だから、今回、下村文科相は「オリンピック、パラリンピックには屋根は要らない」。「パラリンピック終了後に屋根を付ければいい」などと言い出したわけだ)。 新国立競技場はどうにも使い勝手の悪いスタジアムになるはずだ。

陸上競技では1万人以上の観客が入ることはほとんどない。したがって、これまでも使用料の高い国立競技場での陸上競技の開催はほとんどなかったのだ。巨大な屋根を取り付けることによって維持費はこれまでの数倍はかかるわけで、旧競技場より使用料が高くなるのは間違いない。陸上競技に使用できるとはとても思えないのだ。 世界陸上でも開催すれば、多くの観客が集まるだろう。だが、その際ネックになるのはサブトラックが付設されないことだ。大規模な競技会の開催は難しい。第一、サブトラックがないと、現在の規則では第1種陸上競技場として公認することもできないのだ。

では、サッカー、ラグビーで頻繁に使用できるだろうか?もちろん、交通の便も良い国立競技場では、たとえば天皇杯などサッカーに使用する機会はあるはずだが、これから日本でもサッカー専用スタジアムが少しずつでも増えてくるはず。そんな時代に、試合が見にくい陸上競技との兼用スタジアムで多くの試合が行われるとも思えない。

実際、2002年ワールドカップで新しいスタジアムが造られて以降、旧国立競技場はほとんど国際試合に使われなかった。たとえば、日本代表にとって最も重要なワールドカップ予選は、ほとんどサッカー専用の埼玉スタジアムで開催されているではないか。

ラグビーでも同様だ。ラグビーの場合は、国立競技場のごく近くに秩父宮ラグビー場という専用スタジアムが存在するのだ。そして、秩父宮も現在の野球場と場所を入れ替えて新しく整備されることが決まっている。ラグビーの場合も、陸上競技との兼用スタジアムより、専用スタジアムの方が使いやすいのは当然だ。秩父宮に収容できないほどの大観衆が集まる試合が、果たして1シーズンにいくつあるのだろう。

では、そのために開閉式屋根を取り付けるという(それによって、建設費も維持費も大きく膨らむ)コンサートはどうだろう?しかし、どう考えても8万人の観客を動員できるイベントが年に10回もあるわけはない(試算では、年6回の開催となっているらしい)。というわけで、1000億円以上(実際には2000億円を超えるだろう)の建設費を費やし、毎年数十億円の維持費がかかる新国立競技場は、ほとんど稼働しないことになりかねない。

宮城県の山奥になら、年に2、3回しか使用できないスタジアムがあったとしてもまだ許せる。だが、都心の一等地に、明治神宮外苑という緑の豊かな公園の景観を台無しにして、そんな無用の巨大スタジアムを建設するなど、愚の骨頂としか言いようがない。

そうしたら、突然、下村文科相の発言が飛び出してきたのだ。パラリンピック終了後に仮設席を取り外すということで、ダウンサイジングされるということなら無駄は減らせるし、スタジアムの規模が小さくなれば景観問題も多少は緩和されるのかもしれない(どうせ、大会終了後に屋根を付けることはないだろう)。せっかくの機会なのだ。ぜひ、本当に将来の日本国民、東京都民にとって価値のある遺産を遺すために、一度、計画を白紙に戻して、どのようなコンセプトのスタジアムを造るのか(小規模の陸上競技専用にするのか、それてもフットボール専用にするのか、あるいは大改築をして野球場にするのか)から合理的に見直してもらいたいものである。

しかし、これまでの経緯を見れば、日本スポーツ振興センターという組織に当事者能力や責任能力がないことは間違いない。そのへんの、組織の見直しも必要だろう。ザハ案のような、あんな巨大な代物でないのなら、今から見直し作業をしても2019年のラグビー・ワールドカップに間に合わせることはできるはずだ。

2015年5月15日にスポーツ報知ででた、この記事はスクープだった。その後、文科大臣、文科省、JSC、東京都知事とドタバタが始まった。内容はこのほうが、建設予算も抑えられるし、5万観客とスリムになり各団体使いやすいし、何よりも赤字になる維持費が抑えられる。これだけやっても全て黒字にはならないと思うが。そもそもこの手のスポーツ施設は収益率が悪く、良くて6割。つまり100円使って60円返ってくるってこと。





新国立競技場、950億円で造れる 東京五輪へ“格安”案
2015年5月15日9時0分  スポーツ報知

 2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場(8万人収容、東京都新宿区)の建設費を抑えるなどした新たな建設計画案が民間会社から文科省などに提出されたことが14日、分かった。政府関係者が明らかにした。計画案では、座席の大部分を仮設席として建設し五輪終了後に座席数を削減するなど合理性を重視した建築方式。現行案での着工予定は10月だが政府内では、この計画を支持する声が広がっており今後、新計画案が採用される可能性が浮上してきた。

 新国立競技場の建設費を抑制するなどした新たな計画案は、民間会社から文科省や複数の閣僚経験者、自民党幹部らに提出された。中身は競技場のイラスト、運営費の試算など具体的な内容で政府関係者はスポーツ報知の取材に「現行案からの大幅な変更となるが、問題山積みの現状を打開するには、この計画しかないと思う」と明言。「メイン会場の建設方法を変更する場合、国際オリンピック委員会(IOC)への説明や大きな政治決断が必要になる」とも述べた。

 新国立競技場は文科省の外郭団体、日本スポーツ振興センター(JSC)が建設・運営を行う。現行案の新国立競技場は屋根部分の建設に高い技術が必要となり、資材の高騰などを受け、建設費は一時3000億円とされた。識者らから批判を受け、競技場の大きさなどを2割削減。現在は1692億円から2100億円と試算している。また、年間の運営コストについてもJSCは「約3億円の黒字」としているが、複数の政府関係者は「現行案のままでは、五輪後数年で赤字になる」と指摘。東京五輪の前後は“特需”で数億円の黒字になる可能性はあるものの、年間維持費の40億円がネックとなり、20億円以上の赤字が継続する可能性があると試算した。

 こうした状況を改善するために民間から新たな建設計画が提出された。この計画案によると、新国立競技場の収容人員8万人のうち、5万5000人分を仮設席として建設する。また、現行案では行われる屋根の開閉はやめて、客席部分のみを覆う形で設置するなど建設費用を削減する。東京五輪終了後には、この仮設席を撤去して別の競技場に再利用する。現行案の工期は約42か月となっているが、新計画案では約30か月で大幅に短縮される。

 仮設部分を撤去した新国立競技場は、約350億円をかけて5万人規模となるように座席を増築。その後、収益性の高い様々なスポーツなどのスタジアムとして活用する。競技場単体の建設費は、約600億円と現行案の約3分の1となり、運営費の削減も可能となる。増築費と合わせても約950億円2100億円とされる現行案より1000億円以上もスリム化される。

 国立競技場は昨年12月から解体工事を行い、今月11日に地上の構造物などが完全に撤去された。現行案のままで建設するのか、今回提出された新計画案を採用するかは今夏をメドに最終計画案をまとめる見通しで10月からの着工を目指す。JSCは新国立競技場の現状について「建設計画を進めている段階。最終案を出すかどうかはまだ決まっていない」と説明した。

新国立競技場のお金、収支がいかに酷いか、この話は分かり安い。少し要約してみる。

・そもそも天然芝を使う競技とそれを痛めるコンサートは同時使用出来ない。

・競技とコンサートで収益を上げると言っている新国立競技場、比較で埼玉スタジアム(競技)とさいたまスーパーアリーナ(コンサート)と足して比較。それもまったく費用対効果悪い。

・そもそもJSCが計画している収支が黒字だとしても、収益50年分の現在価値から工事費、大規模改修費を引くと、公益、民間合わせて2233億円の赤字だという。そもそも競技では持ち出しになるのでしかたない部分もあるが・・・。



2014/09/26 スポーツと音楽イベントの両立によるコスト増で新国立競技場の持続可能性に警鐘 
●「新国立競技場、スポーツイベントと音楽イベントの両立が生み出す2233億円の赤字」
千葉商科大学政策研究科博士課程の桑原洋一氏は、「誰がコストを負担するのか」をテーマに登壇した。 


新国立競技場の基本構想案がでたが、何も解決していない。特に大きさ・景観・デザインでの問題の前、お金の問題が全く解決できていない。このままだと必ず年間20億前後の維持費赤字になる。それは2016年東京オリンピック招致準備担当課長だった、鈴木知幸さんの話を聞けば、こりゃ問題は一つや二つじゃないことが分かる。彼の結論は【屋根を取るのが一番いい。】であるが・・・・。お金や計画の問題をまとめてみた。(40114 公開勉強会「みんなで学ぼう、新国立競技場のあり方」より)


1、陸上競技場を作らずに開会式はできない。


河野太郎議員「サブトラックが確定しない限りは陸上競技にはしない。」と言っているが、仮設でもサブトラックを作らないといけない。

あとからまたやると味の素スタジアムの二の舞になる懸念(陸上競技の再整備は大きな無駄)




2、サッカー場(天然芝)だけなら、多目的利用が制限される
 

厳しい天然芝の管理(サッカーでは年間50試合が限度、イベントの影響)

屋根付きの場合は通気性から天然芝の管理は難しくなる。

五輪後は人工芝にすべきという意見あり、巻き芝の可能性はあるか。

・2009年にエックスジャパンのHIDEの追悼式で2日間で芝が駄目になるり全面改修の必要となる。

・サッカーの試合とイベントで喧嘩状態。

・人工芝が唯一の解決策では。




3、行政予算の建設費見積りは必ず増加する。
 

行政予算はまず想定通りに行かず、必ず想定外のことがおこる

懸念事項(見込み違い、基礎経費高騰、追加注文、埋蔵文化財、等)

・行政予算はまず想定通りいったことがない。

・あまり言いたくないが東京体育会館は想定からほぼ3倍、どこの公共事業も必ず増える。

・新国立競技場は最終的には想定は2倍になる。

・騙そうとかではなく、見込み違い、基礎経費高騰、追加注文で。




4、収支計画の試算は問題は多すぎる
 

年間利用48日(サッカー20日、ラクビー5日、陸上競技場11日、イベント12日)

収入:45億5500万円、管理運営費:41億4800万円、年間収支:4億円黒字

・収支計画はこれは全く無理.48日はまったく無理です。

・味の素スタは、鈴木俊一知事が作れといった。青島知事が作らせないといったので、納得いかせるようなの収支計画を私が作った。運営時に石原知事に変わって、冗談じゃないと今ある借金払うから自立しろ、いっさい面倒見ない。

・ベルディと東京FCのダービーでも5万埋まらない、1、2万人だけ。スマップステージだけ埋まる。

・世界陸上ですら5万人まんぱいにならない。それが8万人で11日間なんか半分どころか1、2割しか入らない。

・日本陸連も経費がもたいので、ここを使いたくない。

・イベント12日で芝生は駄目にならない。




5、維持管理費の「赤字を補填しない」は不可能である
 

大規模公共施設の維持管理費の収支比率は黒字にならない。日産スタジアム(58%)、ビックスワン(65%)、鹿島スタジアム(80%)、東京体育館(60%)

・東京体育館は極めて優良で、収支比率60%。100円の税金で60円の売り上げ回収。




6、観客席8万人は、死守しべき最大の命題なのか。
 

・日産スタジアム(約7万2000人)、さいたまスタジアム(約6万人)、味の素スタジアム(約5万人)、

・改正PFI法の適用は困難 

・指定管理制度は国立施設に適用できない。

・ネーミングライツはできるか(味スタは5年10億)、国立なので無理だろう。

新国立競技場の総工費が問題になってきた。この時期にきても未だどこがお金出すか決めていない。これが日本の行政の姿。民間じゃ考えられない。



【東京五輪】 新国立競技場の総工費が、見込みの1300億円から最大3000億円まで膨らむ・・・規模見直しへ 毎日新聞2013/10/19(土)


2020年の東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の総工費が、見込みの1300億円から最大約3000億円まで膨らむ可能性があることが分かった。 


収容人数を増やすための大型化や独特のデザインの採用が響いたとみられ、政府は、新競技場の規模見直しなどコスト削減の検討に入った。 


競技場を運営する独立行政法人「日本スポーツ振興センター」(JSC)が選んだデザインを基に、基本設計の準備を請け負っている業者が総工費を試算。文部科学省にも報告された。 


見込み額の1300億円は、約7万2000人収容の日産スタジアム(横浜市)の総工費約600億円に、開閉式屋根の取り付け代などを加えてはじき出した。 


だが、流線型の アーチで開閉式の屋根を支える斬新なデザインの採用や、延べ床面積を12年のロンドン五輪の主会場の3倍近い約29万平方メートルとしたことで、通常の競技場より総工費がかさみ、見込み額で収めるのは難しくなった。 


試算は、競技場の床面積を約22万平方メートルに縮小すると、総工費は約1800億円に減るとした。それでも見込み額を大きく上回っている上、物価上昇や消費増税、東日本大震災の復興事業本格化に伴う資材価格、人件費の高騰が、総工費を押し上げる可能性もある。 


厳しい財政事情を抱える国は、五輪後も競技場などの施設を活用できる都に対し「協力してもらう」(下村博文文科相)と、総工費の一部負担を要請。都は16年夏季五輪のために積み立てた「開催準備基金」約4000億円を持っているが、「国立競技場は国が整備 すべきだ」(スポーツ振興局)としており、折り合いはついていない。総額が上ぶれすれば、調整はさらに難航しそうだ。 


総工費についてJSCは「1300億円はデザイン公募にあたっての目安として提示した。デザイン決定を受け、規模とコストを精査しており、総額がどうなるかのコメントはできない」と説明。 


文科省の担当者は「お金がかかり過ぎないよう複数の案を検討している」としている。 

東京オリンピックに関する記事だが、ここに新国立競技場はラクビーワールドカップのため、東京オリンピックのため、と見切り発車だったのが、よくわかる。東京オリンピックが決まらないければ、そもそも建て替えなどできなかった。財源がないからだ。totoを年間売りに延ばしてその売上げをなってあるが、その他の予算は不明だ。こういった後は誰かがお金を出してくる、そういったところが日本行政、借金大国の根源問題だったりする。





新聖地」求心力の核に 会場整備、1世紀先見据え 東京五輪 レガシー復興(3)

2013/9/13 3:30日本経済新聞 電子版


 「よかった。これで計画通りに造れる」。国際オリンピック委員会(IOC)総会が行われたブエノスアイレスのヒルトンホテルで、日本スポーツ振興センター(JSC)の河野一郎理事長は胸をなで下ろしていた。JSCが所管し、2020年東京五輪のメーン会場となる国立競技場のことだ。


新国立競技場での競技開催時のイメージ=日本スポーツ振興センター提供

■巨費投じ国立競技場リニューアル

 1964年大会で使用された国立競技場は来年から解体工事が始まり、完全リニューアルされる。新競技場は屋根付きの全天候型で収容人員8万人。五輪1年前に開催されるアジア初のラグビー・ワールドカップ(W杯)の主会場にもなり、18年度中の完成を目指している。

 国際コンペで選ばれた作品は架橋が縦横に走る斬新なデザインで、総工費は1300億円。別のJSC幹部は打ち明ける。「当然、五輪を見込んで選ばれたデザイン。もし負けていたら計画変更を覚悟していた」

 国内最大級の日産スタジアム(横浜)の総工費(600億円超)と比べても確かに高い。しかも、「1300億円は見積もりの最低ライン。増える可能性は捨てきれない。財務省を説得するのは大変だ」とこの幹部は話す。

都の開催準備基金4000億円に的

 財源を捻出すべく、JSCの運営するスポーツ振興くじ(toto)関連法案が改正された。海外サッカーの試合なども対象にしたり、当せん金額を引き上げたりすることで年間売り上げを現在の860億円から1千億円に引き上げる狙いだ。そこから毎年売り上げの5%(50億円)を今後7年間(350億円)、新国立建設に充当する。

 もくろみ通りに販売が増えるとは限らない。そこで財務省が狙いを定めるのが東京都の4千億円の開催準備基金。ただ、都は立場上、反発する。「国立の施設の建設費を一部負担することは説明がつかない」(スポーツ振興局)

 財源確保と同時並行で、新しい「聖地」はどうあるべきかの議論を尽くす必要がある。都市政策に詳しい明大の市川宏雄教授は「日本全体でインフラが耐用年数を迎えつつある。スポーツ施設も例外ではない。五輪の施設という観点だけでなく、100年先を見据えてレガシー(遺産)となるものを造るべきだ」と主張する。



64年五輪で風船が舞った国立競技場

■世界基準満たさぬ主要競技施設多く

 日本各地の主要競技施設は、世界基準に満たないものが多い。02年サッカーW杯決勝を行った日産スタジアムでさえ、国際サッカー連盟(FIFA)からは来賓用のホスピタリティースペースが狭いと指摘されているという。新国立はサッカーの聖地とされるウェンブリー(ロンドン)や98年フランスW杯決勝の舞台となったサン・ドニ(パリ)並みのスペースを計画に盛り込んでいる。

 五輪の発信力は求心力と言い換えてもいい。20年東京五輪の前後には、スポーツに限らずビッグイベントが日本に集中するはずだ。湾岸エリアに新設される会場も含め、一過性に終わらない長寿命化に耐えうるインフラ整備でなくてはならない。1300億円をめぐる幅広い議論がスポーツの価値を突き詰める。

(山口大介)

相変わらずのいい加減な予算組。新国立競技場建設の1300億円だって、totoを「海外試合も対象」にしての売り上げで補充するって話だ。大丈夫かそんなもんで。


東京五輪開催費7340億円、誰が出すの? 毎日新聞 2013年09月10日
 

◇4割は税金、残りは民間資金で

なるほドリ 2020年五輪の開催地が東京に決まったね。開くのにどれぐらいのお金がかかるの?

記者 東京招致(しょうち)委員会は総額を7340億円と見積もっています。主な内訳はスタッフの人件費や警備費などの運営費(3013億円)と、競技場や選手村などを整備する建設費(3855億円)に分かれます。

 それは誰が出すの?

 計画によると、
  ▽運営費はテレビ放映権の収入(695億円)
  ▽企業からのスポンサー料(1115億円)
  ▽チケット売り上げ(683億円)−−などの民間資金で賄(まかな)います。

  一方、建設費の大半は国と東京都が負担し、税金が充てられます。
  国が負担するのはメイン会場となる国立競技場の建て替えです。
  約1300億円かかるので、サッカーくじtotoの収益金も充てる予定にしています。
  他の施設(10会場)は都が負担し、予算は1538億円と見積もられています。
  このほか国と都はイベント関係費などで350億円近くを負担し、
  開催費用の総額7340億円のうち約4割の3183億円に国と都の税金が投入される見
  通しです。

ココに新国立競技場の関する面白い記事がある。
 

工事費1300億とした新国立競技場の財源が、totoを1年間にのばしてのその売上げを頼る、それは情けないという内容だ。もともと予算がないのに、日本スポーツ振興センターJSCが勝手にラクビーワールドカップの為に建て替えようと計画をたてた。そもそも財源がないのにやろうとすることを嘆かない、これが日本メディアの惨状。





toto改正 くじ頼みでは情けない (毎日新聞社説)[12/10/09]



サッカー・Jリーグを主な対象とするスポーツ振興くじ(toto)の制度を改正して 売り上げを増やそうとする動きがある。 約1300億円の巨費が見込まれる東京・国立競技場の改築費用を確保するのが狙いで、 超党派の国会議員によるスポーツ議員連盟のプロジェクトチームが法改正の準備を進めている。秋の臨時国会に議員立法として提出し、2014年からの実施を目指す。 


通年販売化と当選金額の引き上げが柱だ。 現在はJリーグが開催される3~12月に販売されていて1~2月は空白期間。 対象を海外のプロサッカーリーグやワールドカップ(W杯)などに広げることで 1年を通して販売が可能になる。また、現在100万倍の倍率を宝くじと同じ 

250万倍にして、繰越金がある場合に最高6億円となっている当選金の上限を 7億5000万円とする。 


国立競技場は19年の日本開催が決まっているラグビーW杯と、東京が翌年の招致を 目指している夏季オリンピック・パラリンピックのメーン会場に想定されている。 新しい競技場は8万人収容、コンサートなどにも対応できる開閉式ドーム形を基本に 国際コンペを実施中で、文部科学省は来年度予算の概算要求に基本設計費として 13億円を盛り込んだ。 


現行のスポーツ振興投票法が98年に成立した際、わたしたちはいくつかの疑念を 指摘した。その一つが「スポーツ振興の財源を安易にくじに求めていいのか」だった。 今回も同様の指摘をしたい。社会の状況を考慮すれば、年金、医療、介護の優先順位は 高く、震災復興も重要だ。 

だが、昨年成立したスポーツ基本法でスポーツ振興を「国の責務」と明記した以上、 国として「応分の支出」は必要だ。財源をギャンブルの上がりに頼る状況では、 国が目指す「スポーツ立国」の名が泣く。 


 国会審議では、制度設計だけでなく、いま国立の改築は必要なのか、必要ならば日本の首都にはどんなスタジアムがふさわしいのかなど大所高所からの論戦を期待したい。


 制度改正に踏み込むならば、収益金の配分比率にもメスを入れるべきだ。現在は売上金の半分は当選払戻金に充てられ、運営経費を除いた収益金の3分の2がスポーツ振興、3分の1が国庫納付金となっている。昨年度は約81億円だった。3分の1が適正かどうか議論が必要だ。


 本格的な販売開始から11年が経過してtotoの社会的な認知は高まった。だが、「チームの戦力分析も必要な知的作業」だったはずが、試合結果を予想する必要がなくコンピューター任せの「BIG」が売り上げの8割以上を占めている現状は一考の余地があるだろう。

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